刑事事件で警察に呼び出されたり家族が逮捕されてしまった方は「何とか不起訴で終わらせたい」と思う方が多いのではないでしょうか。ここでは、不起訴の種類、不起訴になるとどうなるのか、不起訴処分に向けて何ができるか説明します。
不起訴は、刑事事件において、検察官の判断で訴追の必要がないと考えられる場合に、起訴をしない処分のことを指します。つまり、犯罪の証拠がないと判断した場合や、犯罪の証拠があるとしても、特定の事情を考慮して起訴しないという判断をします。起訴するかしないかは検察官自身の判断で決めることができます。しかし、検察官はすべての事件を起訴するわけではなく、様々な理由で起訴しないことがあり、実際に刑事事件の6割程度は不起訴によって終了します。ここでは不起訴の種類と不起訴によるメリットをご説明します。
不起訴には大きく分けて2種類あります。①起訴猶予と②嫌疑不十分(嫌疑なし)です。
起訴猶予による不起訴は証拠は十分にそろっており、起訴すれば有罪判決となる可能性が極めて高い状況ですが、本人の反省や示談が成立していることを踏まえて起訴はしないという処分です。示談の成立によって犯罪による損害が補填されておりあえて処罰する必要がないと判断されたり、被害者がいない犯罪であれば初犯で反省しているなどの事情が考慮されます。
嫌疑不十分による不起訴は、証拠が十分に揃っていない場合の処分です。批判はあるところですが、検察官は、100%確実に有罪判決が得られると判断しない限り起訴はしません。そのため、検察官は被疑者が犯罪を犯した、「おそらくクロ」と考えていたとしても、証拠が十分ではなく、起訴しても有罪にならない可能性があると判断した場合は嫌疑不十分により不起訴となります。嫌疑なしの場合は、「おそらくクロ」という段階にもならず、被疑者が犯人ではないと判断した場合に嫌疑なしとして不起訴となります。
刑事手続が終了する:不起訴によって手続きが終了した場合、今後その件によって警察や検察、裁判所に呼び出されることは基本的になくなります。新しい証拠が出てきた場合に呼び出しを受けるという可能性はありますが、捜査は一旦終了するので新証拠が出てくることは少なく、一般論としては可能性は低いでしょう。
前科はつかないが記録が残る: 裁判所に起訴されて有罪判決を受けると前科が付きます。前科が付くと履歴書の賞罰欄に記載の必要があったり、法律上の職業制限があったりするなど社会生活上大きな不利益が生じます。不起訴の場合は前科はつかないのでこれらの不利益はありませんが、捜査機関の捜査対象になったことは記録として残ります。そのため、今後別の罪を犯してしまった場合に起訴されやすくなったり、裁判で量刑が厳しくなってしまう場合があります。
被害者と示談する: 犯罪事実を認める場合、被害者との示談が有効です。基本的に被害者と直接接触することは身柄拘束の可能性を上げてしまうため、もし示談をして不起訴処分を得たいと考える場合は弁護士への依頼は必要不可欠です。
再犯防止策をたてる: 犯罪の再発防止策を考えることも重要です。自動車事故であれば取り消しにならないとしても免許を返納するといった方法が一例として考えられます。何らかの依存症が影響している場合であれば治療を受けることも一案です。
不起訴処分になれば刑事手続が終了し、日常生活に戻ることができます。何もしないまま検察官が起訴するという判断をしてしまう前に不起訴を目指すためには弁護人の選任が必要不可欠です。
早くご依頼いただいた方ができることが増えるため、一度ご相談下さい。